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カテゴリ: コラム

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①総理番 

記事提供 共同通信社


 内閣の最高責任者である首相の毎日を追いかける総理番は、地方支社局から政治部に配属された記者が最初に担当する。共同通信の原稿上の表記は「首相」で統一されているが、この仕事だけはなぜか「総理」を使う。自宅や公邸からの出発、帰着を始め、会議や会合への出席、要人との面会を分単位で記録。「首相動静」として各加盟紙に掲載される。
 総理番の一日は、朝、首相が出発する1時間以上前に自宅前に集合することから始まる。新聞、テレビ各社も数人の総理番記者を置くが、各社に動静を配信する共同通信と時事通信は特に責任が大きい。「番車」と呼ばれる車で首相の車列とともに移動し、夜は毎日24時まで自宅前で突然の来客などに備える。
 首相の執務室がある官邸5階には記者は立ち入れないため、来客がエントランスを出入りする際に、首相との面会時間や会話内容、所属、氏名を矢継ぎ早に確認する。ぶら下がり取材に頻繁に応じた過去の首相と比べ、現在では直接首相と会話を交わす機会は減っているが、靖国神社参拝や閣僚の辞任など、フラッシュ級のニュースを目の当たりにするダイナミズムは変わらない。
 一挙手一投足を記載する日本の首相動静は、世界各国と比べても格段に詳しい。過去には「知る権利の範囲を超えている」と国会で取り上げられたこともあるが、報道の大きな役割である「権力の監視」という点からも欠かせない仕事だ。